DISCOVERED(ディスカバード)は、木村多津也と吉田早苗がデザインを手がけるブランド。リアルクローズを基としながらモードやストリートを独自の解釈で融合させたデザインが特徴。数々のコラボや一点物を扱う”NEWSED”など多岐に渡って活躍。
2020年世界中が新型コロナウィルスの影響により、ファッション業界も多大なを影響を受ける中発表となった2021春夏コレクション。その中で改めて自身のブランドとは何かを見直し今回の制作に向かったという、DISCOVERED(ディスカバード)のデザイナー木村多津也氏と吉田早苗氏にブランド設立の経緯や制作における思いなどをインタビューした。
ーまずブランドがスタートした経緯やこれまでの活動などを簡単にお聞かせください。
木村多津也(以下 木):高校生1年生から同級生だった吉田と上田安子服飾専門学校在学中に友人などに手縫いのお洋服をプレゼントしていたことが口コミで評判となり、同じタイミングで先輩が大阪でSHOPを開くことをきっかけとなり、2001年にDISCOVERED(ディスカバード)を立ち上げました。2011年に東京コレクションに初参加し、2017年にはDHL Designer Awardを受賞しました。
ー2020秋冬コレクションではギターブランド「Killer」、また現代美術作家の政田武史氏らと共同制作されました。異なる業界やアーティストとの協業を積極的に取り組まれている理由を教えて下さい。
政田とは中学生からの幼なじみで、その当時「Killer」の生みの親である高崎晃さんがギタリストをしていたLOUDNESS(ラウドネス)というハードロックバンドのコピーバンドをしておりました。30年余りを経て、その当時の気持ちや想いが今尚お互い強くあったため、ダメ元でKILLER社に2人で直談判しにお伺いしたところ話がうまく進み、今回のコラボと合いなりました。毎シーズン何かしら引っ掛かりのあるトピックを作りたいという思いと、シーズンテーマに合わせて協業したい先があるため、コラボについては積極的に取り組んでいます。
ーそんな思いを込めて制作された2020A/Wシーズンのテーマ「VERYMETAL」と注目アイテムについて教えて下さい。
1980~1990年初頭に流行したヘビーメタル、またハードロックを現在時点のDISCOVERED(ディスカバード)的解釈で「VERYMETAL」としてテーマにしました。先ほども話したKillerとのコラボレーションアイテムは先シーズンから継続。シーズンテーマと「Killer」のテイストが音楽のジャンルを含めドンズバでした。今季の象徴するアイテムですね。
あとはウールギャバシリーズです。当時のメタル、ハードロックシーンを2020年にアップデートした際に思い浮かんだオリジナル素材です。従来よりも高密度の打ち込みで整織し、糸もZ撚り(糸を左方向に捻ること)同士を敢えて二本撚り合わせる(※本来は同方向の糸を撚り合わせると安定しないため、左右異なる方向に捻られた糸を撚り合わせる)ことにより、糸の反発を生み、生地の膨らみを出しているウールギャバジンシリーズ。後染め加工による生地のため、馴染みと発色の良さが特徴です。
最後は、オリジナルグレンチェックシリーズです。梳毛(そもう:羊毛などから長い繊維を集めて、それらをすいて、ちぢれをのばし、平行に並べる作業をした毛のこと)のウール100%糸を使用したオリジナルチェックシリーズで、これも当時のメタル、ハードロックシーンを2020年にアップデートしたいと考えた際に思い浮かんだオリジナル素材なんですが、当時のそのシーンはスリム一辺倒でしたので、ジャケットは身幅を広めにし、ショート丈にパンツは今の気分を取り入れブーツカットシルエットにしています。シャツは今季のシーズングラフィックを後ろ見頃に別素材にプリントし、叩きつけています。
ー現在新型コロナの影響が続く中、2021春夏コレクションの制作にあたって意識されたことは何ですか?
「自分達らしさを大事にすること」ですね。改めてコロナ自粛中の中、DISCOVEREDとは何かを深く考え直し その上で行き着いた先はオリジナリティを大事にする事でした。見て、着て楽しくなるお洋服を創作することが大事だと改めて認識しました。
ー今後のブランド展開についての展望やお考えがあれば教えてください。
ワールドワイドに、変わる事なく。毎シーズン「面白いことを考えてみんなを楽しくさせたい」ですね。
text : Rikuri Ishida / 2020年9月20日
木村 多津也 (Tatsuya Kimura)
1977年4月22日大阪で生まれる。上田安子服飾専門学校を卒業
吉田 早苗 (SANAE YOSHIDA)
1977年12月14日大阪で生まれる。上田安子服飾専門学校を卒業
木村多津也と吉田早苗が、2001年よりミュージシャンやアーティストに向けたオーダーメイドの洋服製作創りを始めたことをきっかけとし、[Opposition mix up]のコンセプトのもと、「DISCOVERED」をスタート。2010 S/S COLLECTIONよりランウェイ形式での発表を行っている。リアルクローズをベースとしながら、モードからストリートまで幅広い独自の視点で、相反するテイストやデザインを融合させ、ジャンルレスのデザインを目指す。