ANALOG LIGHTING
アナログライティング


ANALOG LIGHTING(アナログライティング)は1999年に設立された山本威史がデザインを手がけるファッションブランド。コンセプチュアルなテーマをもとにコレクションを制作し、オリジナルプリントに定評がある。プリントを施したワンピース、デニム、Tシャツ、Gジャンなどが人気。現在は“デザインで世の中を楽しくして、人々の可能性を拡げること”をコンセプトにファッションの枠に収まらない多様なプロジェクトで活動の場を広げている。


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SPECIAL INTERVIEW

2018A/W コレクションインタビュー

これまで独自の目線で切り取られた、プリントアイテムなどを中心に多彩なコレクションを発表してきたANALOG LIGHTING(アナログライティング)。キャリア20年目を目前にコレクション発表の形式をがらりと変えたという。今回は往年のバンドTシャツをモチーフにした”NO MORE HEROS”シリーズに新作を加えた特別企画を行う。「主体の不在」に込められた思いなど、デザイナーの山本威史氏に制作の現場であるアトリエで話を聞いた。

─── 「ANALOG LIGHTING(アナログライティング)」のコンセプトから教えてください

 1999年にブランドをスタートして、今年で19年目になりますが、今のコンセプトは“デザインで世の中を楽しくして、人々の可能性を拡げること”。変わらず思っていることは、ファッションはポジティブなエネルギーを持つということ。そんなポジティブで楽しい気持ちになれることを、どんな時も最優先して制作しています。

─── 先シーズンから、年2回のコレクション形式をやめ、新たな発表方法を取られていますね。

実は新たなデザインの在り方や可能性を発見しまして(笑)。そっちが楽しそうで気持ちが傾いたんです。20年近く1度も休まずに(多い時は)年6回ものコレクションを組み立てていましたが…そろそろいいかなと。新しいことがやりたくて我慢できなくなってしまいました。最近の活動を見ていただければ、これが今のANALOG LIGHTINGのデザインだと理解していただけると思います。
発見したことは、“ファッションデザインで、ファッション以外のことをやる”ということ。
いくつか例を挙げると、“街をデザインする”をコンセプトに、目黒通りの歩道を使ったストリートイベント「MEGURO MARCHE(目黒マルシェ)」の実施や、障害者による気鋭のデザイナー集団「PINTO(ピント)」主催の子供達と一緒にTシャツをカスタムするワークショップ、ファッション+医療でつくる人間活性プロジェクト「ファシニカ」などの総合デザインを手がけました。
ファッションの制作において、デザインすることはごく当たり前のことでも、他の分野に当てはめるとすごく面白くなるんです。ファッションはもっと社会に参加したらいいのではと思っています。身近なものごとにファッションがもたらす高揚感を盛り込むこと。よく話すのは、“ファッション風”という言葉が一般的になればいいなって。ガーデニング・ファッション風とか。公園ファッション風、道路標識ファッション風(笑)みたいにファッションの境界線を曖昧化し拡張させることが、他分野のモノ・コトを面白く引き立てるツールのひとつになるのではと思っています。

─── 今回フォーカスするTシャツのシリーズ"NO MORE HEROS(=主体の不在)"の制作背景や込められた思いは?

お菓子のパッケージやTVCM、実家の靴箱の上に置いてある小さな置物まで。世の中があまりにも混沌としていることに違和感があって。だからこれ以上デザインしたものを出していくよりも、まずは消していくことも有りなのかなと考えました。
そんな時にゴーストバスターズのヴィンテージのTシャツを見かけて。白インクが劣化してほとんど落ちてゴーストがいなくなっていたんです。それを見てデザインの主体がいなくなることで、見慣れたものが全然違って見え、今回のシリーズを作るきっかけになりました。

─── SEENOWTOKYOでの販売に合わせて発表した新作「白く塗れ!」シリーズについて教えてください

タイトルはローリングストーンズの「Paint It, Black」という曲からとりました。白く塗って世の中をすっきりさせたい、という意味を込めています。 例えばみんな好きなスカルのモチーフって、考えてみれば本来人間の頭蓋骨じゃないですか(笑)。それと同じように白一色で表現することで、ロックTの毒気が消え、純粋にデザインとして楽しんでもらえると思います。女性にもオススメです。 また黒いヴインテージTシャツが色落ちしてグラデーションした感じは美しいなあと思うので、リアルに再現しました。色々と試したのですが、青っぽく落ちる厚い生地を、長時間痛めるのが一番質感が良かったですね。シルエットも、ロックTで使われているアメリカンボディのTシャツが、縮んじゃって型崩れした感じが出るよう、今のTシャツにはないパターンを引いています。ぜひ着て実感して欲しいですね。

─── モチーフ選びへのこだわりは?

主人公が居なくなると、シンプルな絵が現れます。ただの丸や線になったり、風景になったり。今まで見ていなかった背景に目が行く、そして視点を変えると新しい感覚が生まれる。という感じが個人的に好きです。なるべく「誰もが目にしたことが有る」モチーフを選びました。

─── 最後に読者の方にメッセージがあればお願いします

Tシャツ一つに語り過ぎちゃいました(笑)失礼しました。音楽イベントなどに着て楽しい夏にしてもらえたら嬉しいです。楽しいのが一番いいです。はい!

DESIGNER'S PROFILE :

山本 威史(Takeshi Yamamoto)
1999年にメンズブランドとしてANALOG LIGHTING(アナログライティング)設立。
2001年レディースコレクションをスタート。
2003AWシーズンにはロンドンでファッションショーを開催。2007AWパリにてコレクションを発表。
下目黒にショップ兼アトリエの「ANALOG LIGHTING OFFICE」をオープン


Designer Profile

山本 威史(Takeshi Yamamoto)

1999年にメンズブランドとしてANALOG LIGHTING(アナログライティング)設立。
2001年レディースコレクションをスタート。
2003AWシーズンにはロンドンでファッションショーを開催。2007AWパリにてコレクションを発表。
下目黒にショップ兼アトリエの「ANALOG LIGHTING OFFICE」をオープン